小林賢太郎より

指導者として

 コントや演劇など、表現で身を立てたいと頑張る若者達から、よくアドバイスを求められます。直接的な演技のスキルをはじめ、「あいさつの意味」のような基本から「ショービジネスにおけるブランディング」のような込み入った話まで。みんな実に熱心。
 最近はそういう身近な枠を越えて、教壇に立つ機会が増えてきました。母校、多摩美術大学での講義が続いたり、劇作家の為のセミナーにお招き頂いたり。まだまだ未熟で学ぶべき事の多い僕が、人にものを教えるなんておこがましい、とも思いました。でも、表現を仕事にするようになって16年目、今の僕を輪切りにして見てもらうことでお役に立てるなら、そう思い引き受けました。受講してくれた皆さん、小林の授業はいかがだったでしょうか。
 笑いを作るための会話の基本構造。守られるべき作家の権利。人はどんな面白さに価値を感じるのか。舞台表現論と言えば堅苦しいですが、その根本は普通のコミュニケーション。正確に、分かるように、伝えること。そういう意味ではエンターテインメントで観客を楽しませるのって、知らない人に道を聞かれて説明するのに似ているかもしれません。もちろん指導も伝えることですので、僕も勉強になります。このような機会を与えてくださった先生方、協力して頂いた学生さん、受講してくれた皆さん、ありがとうございました。

追伸;僕が人生をかけて発掘した考え方や技術は、表現者という生きる道を選んだ方々にきっと役立ててもらえる、そう信じて教壇に立っています。指導の場は、ファンサービスとは少し性質の違うものです。会場の席数には限りがあります。どんな方が優先されるべきか、ご理解いただけることを願っています。

小林賢太郎

新作『うるう』

 K.K.P.#8『うるう』が発表になりました。「K.K.P.」というのは、小林賢太郎による演劇作品のことです。ポツネンやラーメンズのような短編集ではなく、ひとすじの物語です。
 脚本・演出、小林賢太郎。役者は、小林賢太郎ひとりです。でももうひとり、心強い共演者がます。役者ではなく、チェロ弾きです。
 徳澤青弦。これまでの僕の舞台にも、沢山の素晴らしい音楽を添えてくれたアーティスト。今回はなんと、生演奏です!徳澤青弦のファンのひとりとして、とても光栄です。いやー、気合いも入るというものだ。
 この「うるう」は3年前から作りはじめていました。今年の夏まで上演されていたポツネン『the SPOT』に「うるうびと」というタイトルのコントがありましたが、これは「うるう」のアイデアの一部をコント化したものでした。設定など少し共有する部分はありますが、ストーリーはあんまり関係ありません。コント版をご覧になっていないお客様にも「うるう」はお楽しみいただけます。
 2011年12月21日から2012年2月29日まで。全国8カ所の劇場で上演致します。お楽しみに!

小林賢太郎

大泉洋さん

 現在上演中の大泉洋さんのワンマンショー、その名も『大泉ワンマンショー』。これが実に面白い。何がって大泉洋が。「お客さんを楽しませたい」「面白い自分でありたい」そんな表現者としての純粋な気持ちが、鮮やかに生き様として現れていました。素敵な人だ。
 その会場内で販売されているパンフレットで、大泉さんと対談をさせて頂いてます。こちらも面白いので、是非どうぞ。

小林賢太郎

どーも、Macです。

 アップルコンピューターの創業者、スティーブ・ジョブズ氏が亡くなりました。
 僕はコンピューターはMacしか使った事がありません。最初の1台はMacintosh Performaでした。台本を書き、スケジュールを管理し、ポスターやフライヤーをデザインしました。それから十数年、僕の仕事の質や規模の変化とともにMacも世代交代させてきました。手に入れたMacはもう数えきれません。
 思えば僕は彼から多くを学びました。
 彼の新製品の発表はいつだってシンプルでした。どんなとんでもないデバイスの発表だって、ショーアップすることなく、黒いタートルネック姿でふらりと現れ、僕たちを驚かせてくれました。僕はそこから、商品そのものに魅力があれば飾りは必要ない、ということを学びました。
 スティーブが生み出したのは単なる機械ではありませんでした。Macはすぐれた道具であることを越え、コミュニケーションのありかたや、人々の習慣までもデザインしていきました。これは本当に特別なことです。僕はそれを、肩書きやジャンルに縛られてはいけない、と解釈し、自分の仕事に反映させてきました。
 日本で唯一「どーも、Macです」と公式に発言した者として、深い哀悼の意を表します。ありがとう、スティーブ。あなたを心から尊敬しています。

小林賢太郎

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