小林賢太郎より

指導者として

 コントや演劇など、表現で身を立てたいと頑張る若者達から、よくアドバイスを求められます。直接的な演技のスキルをはじめ、「あいさつの意味」のような基本から「ショービジネスにおけるブランディング」のような込み入った話まで。みんな実に熱心。
 最近はそういう身近な枠を越えて、教壇に立つ機会が増えてきました。母校、多摩美術大学での講義が続いたり、劇作家の為のセミナーにお招き頂いたり。まだまだ未熟で学ぶべき事の多い僕が、人にものを教えるなんておこがましい、とも思いました。でも、表現を仕事にするようになって16年目、今の僕を輪切りにして見てもらうことでお役に立てるなら、そう思い引き受けました。受講してくれた皆さん、小林の授業はいかがだったでしょうか。
 笑いを作るための会話の基本構造。守られるべき作家の権利。人はどんな面白さに価値を感じるのか。舞台表現論と言えば堅苦しいですが、その根本は普通のコミュニケーション。正確に、分かるように、伝えること。そういう意味ではエンターテインメントで観客を楽しませるのって、知らない人に道を聞かれて説明するのに似ているかもしれません。もちろん指導も伝えることですので、僕も勉強になります。このような機会を与えてくださった先生方、協力して頂いた学生さん、受講してくれた皆さん、ありがとうございました。

追伸;僕が人生をかけて発掘した考え方や技術は、表現者という生きる道を選んだ方々にきっと役立ててもらえる、そう信じて教壇に立っています。指導の場は、ファンサービスとは少し性質の違うものです。会場の席数には限りがあります。どんな方が優先されるべきか、ご理解いただけることを願っています。

小林賢太郎

上へ
前へ