小林賢太郎より

謹賀新年、質問をくれた方へ

 あけましておめでとうございます。活動の隙間がちょうど年越しと重なり、少しだけゆっくりさせてもらいました。作るか見せるかしてないと、すぐ不安になっちゃうんですけどね。

 ところで、後輩の芸人や役者から相談を受けることがなんだか増えてきました。僕は先生ではありません。作家として、演技者として、ここから頑張らなきゃならないことが山ほどある。まだまだ学ぶ側の立場の僕です。
 公演のアンケートやお手紙で、コントや演劇の道に進みたいという方からの質問をいただくこともあります。よく聞かれる質問や、中にはとても重要なものも。
 実際にひとりひとりに対応することは出来ていません。ごめんなさい。今からここに返事を書きます。これを必要としてくれる人に届きますように。

Q;コントや演劇のアイデアを、どうやって思いつくんですか?

A;僕の場合「思いつく」というより「たどり着く」という感じです。まずキッカケをつかみます。日常のあらゆるシーンにヒントが転がっています。そしてその種を育てていきます。目で、手で、足で、何日でも考え続けます。作って、壊して、また組み立てて、壊して、まるめて、壊して・・・。最終的に「アイデア」と呼べるレベルに到達させるんです。合格の条件は「シンプルで、わくわくできること」。

Q;親に芸能の道を反対されています。賢太郎さんはどうでしたか?

A;何者でもないあなたを、育て、守ってきてくれた人に対して、自分が何者になりたいのかを伝えるのは、ひとつの責任です。社会人としての第一歩かもしれません。
 自分の才能を相手に証明することはとても難しいことです。しかし、その手だてを考えて実行することこそが「表現を仕事にする」ということ。目の前の大人ひとり説得できないようじゃ、やっていけませんよ。プロの世界に踏み込んだら相手はアカの他人です。それも5人や10人ではありません、何百人、何千人、そのさきには何万人もの観客の厳しい目があるのです。
 かく言う僕だって親には反対されましたよ。今だに才能を認めてもらったとは思っていません。
 親御さん、先生、どうぞ自信を持って反対してあげてください。本当に特別な才能をもった人間は、自分でそれに気がついていて、どんな逆境の中からでも必ず結果を出してきます。逆に親が「うちの子は天才かもしれない」などと物や環境を無尽蔵に与えることは、長い目で見たら本当にかわいそうな事です。彼らの貴重な第一関門を奪っているのですから。

Q;小林賢太郎さんみたいになりたいです。弟子にしてください。

A;お断りします。僕があなたみたいにはなれないように、あなたも僕みたいにはなれません。一流のあなたになってください。

 いかがでしたでしょうか。これは「答え」じゃなくて「返事」です。釘を刺しますが「僕の言ったとおりにすれば大丈夫」だなんて言ってませんからね。「小林賢太郎はこうなのか、じゃあ自分はどうしようかな」と、考えるキッカケにしてください。だって僕とあなたは、それぞれ自立した表現者どうしなんですから。

 新年早々長々と失礼しました。今年もよろしくお願いいたします。

小林賢太郎

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