小林賢太郎より

質問をくれた方へ

「P+」のツアー中、アンケート用紙にいくつかお客様からの質問がありました。ここに回答いたします。

Q;いつも奇想天外でびっくりしてしまいます。パフォーマンスのアイデアは、どうしたら思いつくのですか?
A;僕はずーっと考え続けていられるんで、思いつくというより、そのうちたどり着く、という感じです。僕は作る段階では「アイデア」という言葉を使っていません。「何かいいアイデアないかなあ」という言葉で考えてしまうと、無意識のうちに頭の中で「アイデア」という言葉の概念をもとに完成予想図を作ってしまうからだと思います。完全に自由な状態から、作りたい、観せたいものを純粋に追い込んでいく。そのうちに「アイデア」と呼べるものにたどり着く、という感じ。この思考順序は、クライアントが自分自身だからできること。アーティストという立場の特権です。

Q;作品のとっかかりはどのようなときに生まれるのですか?
A;僕の作品はビジュアルイメージが強いかもしれませんが、つくるのは目に見えない部分からです。コントの仕組みや、物語のトリック。それを果たすために設定や登場人物をあとから当てはめます。
つまり、日常の中で自分が笑ったり感動したりしたとき、なぜそう感じたのか構造を見抜く、というところから作品のとっかかりが出来てきます。

Q;高校の演劇部で演出をやっています。思っていることが(役者に)うまく伝わらないことがあります。どうやったら自分の思っていることを伝えて、演じてもらうことができますか?
A;おー、後輩。僕も演劇部に在籍してましたよ。演出論にはいろいろありますが、僕の考えはこうです。演出とは、演出家の中にある物を役者にコピーさせることではなく、脚本の中にある機能を役者と一緒に探し出す、ということ。だから「こうやってください」と実演して伝えることは、できるだけしないようにしています。つまり、言葉で伝えるということ。そのとき、あまり沢山の言葉を使っては役者が混乱してしまいます。その場面にふさわしい演技をしてもらうためには、少ない言葉で的確に伝えられなければなりません。これには表現力とコミュニケーション能力が重要です。つまり、日常生活のすべてに訓練のチャンスがころがってるってこと。高校演劇部、がんばってください!

Q、普段何を考えて生きているのですか?
A、次の作品のこと。

Q、賢太郎さんはスランプになったりしないんですか?
A、はい。

Q;人を楽しませるために一番大事なことは何ですか?
A;人を楽しませることを、一番大事なこととして生きているかどうか。

Q;舞台に立つ前にいつもしていることはありますか?
A;開演直前、舞台袖、お客さんから見えないギリギリのところまで行って、客席の雰囲気に意識を集中します。みんながどんな気分か、超能力みたいに分かるんです。登場した瞬間に、客席と僕の呼吸が無音の中でバチーンと合う。こんな最高の瞬間のためにおこなう儀式みたいなものです。

Q;差し入れとかプレゼントで困るものはなんですか?
A;結論からいうと、なんにもいりません。手ぶらでお越し下さい。
 お菓子などを頂くことがありますが、僕はほとんど食べられません。ごめんなさい。公演期間中は、何をどのくらい食べたかを自己管理しています。カロリー計算の為でもあり、身体になにか不調が出たときに、原因をたどれるようにするためです。
 お酒なども、できればご遠慮ください。とくに旅公演中は、劇場から宿泊先へ、また次の都市へと、移動の連続です。荷物の量を100グラムでも軽くしたいもの。繊細なアクションを必要とする自分の手に、あまり負担をかけないようにいつも気をつけています。
 お気持ちは、皆様がチケットを買ってくれたことでじゅうぶんなのです。劇場には、笑い声と拍手を置いてってください。エンターテイナーにとって、これ以上のプレゼントはないのですから。

Q;変化し続けている賢太郎さんの中で、ずっと変わらない物はありますか?
A;物心ついたときから、絵を描いて、お話考えて、なんか作ってました。それが今も変わらず続いています。変わりたくても変われやしない。始めた記憶がないからやめ方が分からない。無限創作地獄。いや、天国か。

Q、好きなおでんの具はなんですか?
A、だいこん

いかがだったでしょうか。質問をくれた方、ありがとうございました。
ではまた。忘れた頃に。

小林賢太郎

※いただいた質問文は簡潔に要約させていただいています。重複する内容のものはまとめさせていただきました。

ポツネン「P+」東京グローブ座

 東京グローブ座公演が終わりました。たくさんのご来場、ありがとうございました。
 5月の過ごしやすい頃から始まったツアーですが、もうすっかり真夏ですね。海の日にダイバーのコントで終わる、あ、ちょっと嬉しい。
 そもそもこの作品は、昨年、横浜のスタジオ公演から始まり、次にパリ、そのあとはモナコで上演されました。その頃から比べると本作はずいぶん成長しました。「この進化した状態をヨーロッパで観せたかったねえ」なんて身内の声もありましたが、いいんです。そのときできる最高のパフォーマンスを尽くしてきましたから。
 全体を通して、いつになく子供達の笑い声が印象に残っています。日本語の分からないお客さんにも楽しんでもらえるようにと作ったら、年齢の壁もなくなったようです。あこがれののっぽさんへの道は近いかもしれない。

 ツアーの途中から面白いことが自然発生的に始まりました。お客様からのアンケート用紙に、次の都市のお客さんへ、伝言を書いてもらったのです。これも、沢山の会場を巡るツアーならではの遊び。伝書鳩ポツネン、それぞれの会場の千秋楽で、ちゃんと読み上げて伝えましたよ。
 最後は福島公演のお客様から、東京公演のお客様へのメッセージでした。約束通り、東京グローブ座公演の千秋楽に、きちんと読み上げました。そこに書かれていたのは、震災で被災された方からの支援のお礼でした。
 東京にいると「震災を忘れてはならない」とか「あの日のことを思い出そう」とかいう感覚になってしまいますが、忘れるとか、思い出すとか、そういうことではなかったのです。福島には今現在も、現役の問題として東日本大震災がありました。
 全国のご来場のみなさん、みんな同じコントを観て笑ってましたよ。つながってますよ、この国は。さあさあみんなで、住んでて楽しい日本にしましょう!

 これにて「P+」は終了です。さっそく次にいきたいところですが、息継ぎしないのが僕の悪い癖。はやる気持ちを抑えて、一度はちゃんと立ち止まらなくちゃ。深呼吸して、心の襟を正して、それから一歩目を踏み出すことにします。これから僕は、そのくらい大切な作品に挑もうとしています。それがどんな作品で、いつ、どこで上演するかは、このサイトで発表させて頂きます。

 全国の劇場に来てくれた皆さん、僕に気がついてくれてありがとう。これからも「小林賢太郎が作るものは面白い」と思っていただけるよう、がんばります。
 そうそう、今回アンケートにも、ご質問をいろいろ頂きました。近々ここで回答しますね。

小林賢太郎

ポツネン「P+」福島

福島の皆さん、いわきアリオスに来てくれて、ありおす。
皆さんとても楽しんでくれたみたいで嬉しかったです。
アンケートには多くの方が「また福島に来てください」って書いてくれました。
もちろんですとも!最高ですよ、いわき。
いわきのことが知りたくて、3夜連続で外食し倒しました。
なんだいわき。うまい店だらけじゃないか。
ついでに言うと、劇場で食べたお弁当も全ツアーでナンバーワンでした。
あといわきはねえ、人がかわいい。
アロハシャツのタクシーの運転手さん、
神社のベンチに座って勉強したりデートしたりしてる高校生たち、
飲屋街を肩組んで歩くべろんべろんのおじさん3人組…。
もーみんな愛おしいったらない。
ああ、なんて素敵な街なんだ。
震災のこと、地元の方にじっくりお話を伺いました。
あらためて、僕は僕に出来ることを全力でやろうと誓いました。
福島、また会いに来させてください。
みなさん、本当にどうもありおす。

さあ、次はホームグラウンド、東京グローブ座です。よろしくお願いします。

小林賢太郎

上へ
前へ