小林賢太郎より

『ノケモノノケモノ』を終えて

 やっと「僕は何をつくったんだろう」って考える余裕が出てきました。
 「特別だと思われたいくせに、みんなと一緒じゃないと不安」多くの人が持つこの矛盾に興味がありました。いますよね、シャイなくせに出たがり、とか。照れるなら出なきゃいいのに、なんて思いますが、そんな客観性すら見失うくらい人を支配してしまうのが、この自己矛盾の威力なのです。
 人は社会に生きる以上、何かしらの組織に属し、肩書きや持ち物がある程度のステイタスを表します。でも、そんな鎧が本来の自分の姿を隠しているとしたら、ますます自己矛盾に気がつけなくなってしまうと思うのです。自分に自分を隠さないでいたい。そんな思いからこの物語をつくりました。
 舞台となったあの異世界の街は、僕の頭の中には確かに存在しています。だので、迷いなくどんどん絵を描きました。そこには今も彼らが暮らしています。イルマも狩人も、創造主も助手も、そば屋の店主も橋本さんも、門番のお二人も、何度もすれ違うカモノハシも。ツアー中、どういうわけだか何度もキツネの嫁入りを経験しました。その度に僕は、傘をささずに彼らを想うのでした。

 さて、小林は次のプロジェクトの為に動き始めています。近日情報解禁。少々お待ちを。

小林賢太郎

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