小林賢太郎より

パリにいます

 僕のライブのポスターが飾られたガラスの建物に、エッフェル塔が反射しています。パリです。

 ソロ公演「ポツネン氏の奇妙で平凡な日々」の上演にやってまいりました。つくった自分でも謎が多いこの作品、フランスの観客にどう映るのでしょうか。とても楽しみです。

小林賢太郎

質問をくれた方へ

昨年もお手紙や公演のアンケートで質問を頂きました。頑張って10問お答えしました。必要としてくれる人に届きますように。  ※重複した内容の質問はまとめさせていただいています。  ※質問文は簡潔にまとめさせていただいているものがあります。 Q;ファンレターは賢太郎さんの手元に届いているのでしょうか。読んでくれていますか? A;できるだけ読みたいとは思ってます。僕は制作期間中、作品に集中するために、あえて情報を遮断します。だので、事務所宛に届いたファンレターはある程度の期間保管され、僕の時間と頭に余裕ができたとき、スタッフがまとめて渡してくれます。  お手紙の中には演劇公演のご案内が同封されていることもあるので、失礼ながらまずスタッフが開封して、確認してくれています。(僕の手元に届いたときには、すでに上演が終わっていたことがあったので)  そしてもうひとつごめんなさい。僕はファンレターに返事を書いていません。返事を書くべき手紙と書かないでいい手紙、僕にはその優劣がつけられません。全員に書けない以上、書くべきではないと判断しました。  ただし、手紙の中には大切な質問が書かれていることがあります。それで、ここにこうしてお答えするようになりました。 Q;どうやって今の職業をやると決めましたか?どこからそんな勇気が出てくるのですか?「好きなことをやる」というのと「この世界で生きていく」ということを考えたとき、不安はありましたか? A;とくに勇気を出した記憶はありません。うまくいかなかったらどうしよう、という考えはまったくありませんでした。「自分で作ったもので人を楽しませたい」という思いが物心ついたときからありました。始めた記憶がないので、辞め方がわかりません。どうしましょう。 Q;小林さんは役者と演出の両方をされていますが、稽古のときはどのようにしているのですか? A;もちろん共演者と一緒になって稽古をしますが、演出家席に座って前から見るときは、僕の代わりに誰かに演じてもらいます。たいてい後輩の芸人です。 Q;小林さんは作品で多くの人にメッセージや思いを伝えるとき、心がけていることはありますか? A;「答え」ではなく「問題とヒント」を伝えたいと思っています。答えは受け取る人によって違っていいと思うのです。僕の考えを観客に押し付けないように心がけています。 Q;お芝居のテーマはいつもどこで見つけるのでしょうか。自分の中をひたすら掘り下げるのでしょうか。 A;芝居のテーマに関しては、机に向かってウンウン唸って生み出したりはしません。生活のすべてを作品づくりに向けていれば、おのずとやるべきことが見えてくるので、それに従っています。 Q;大学の演劇サークルで演出をやっていますが、なかなかうまくいきません。演出家として役者全体をどうやって団結させていますか? A;僕もかつては同じようなことで悩んだ時期もありました。「もっと一流の人とだけ仕事をしたい」だなんて思ったりして。けれど「一流の人と仕事をしたければ、まずは自分が一流になることからだ!」って考えるようにしました。いいんですよ、こう考えると。人のせいにしなくて済むので。  今の僕の現場にはプロしかいないので、演出家として団結を要求するまでもなく、みんな作品に対して協力的です。  演劇部諸君、頑張って下さい!応援してます! Q;小説を書いています。ひとりよがりになってやいないか、不安になります。どうしたらいいでしょうか。 A;誰かに読ませて反応を待てば分かることです。ウケるか、スベるか、どっちでもないか。ネットにアップすることもできますしね。タイトルを見た人に、どうすれば「読んでみたい」と思ってもらえるか。読み始めてくれた人に、どうすれば「最後まで読みたい」と思ってもらえるか。読み終わった人に、どうすれば「他のも読みたい」と思ってもらえるか。これを考えて実行することが、ひとりよがりではなくなる、ってことですから。  誰にも読ませないのなら、ひとりよがりでいいと思います。無責任でいいし、自分だけで楽しめれば、それでいいんだから。  でもさ、ウケたいよね。僕もそうさ。 Q;最近観た映画や読んだ本で面白かったのはなんですか? A;「範馬刃牙」 Q;大阪のことは好きですか? A;大好きです! Q;思いもよらない出来事があって、大きな挫折をしてしまいました。賢太郎さんは挫折を経験したことはありますか?どうやったら立ち直れますか? A;みんなしっかり挫折して、体全部で悩んでる。学校のこと、仕事のこと、将来の夢。こういう人生相談みたいな質問をいただくと、思うんです「こういうことはもっとちゃんとした人に相談してください」って。僕は多分いろんな意味で例外なので。  でもみなさんも「よし、ここはひとつ小林賢太郎に相談してみよう」って思うくらいの変わった人なわけです。変な人どうし、誠意を持ってお答えします。  きっと人生って、自分が思ってるより「すごい」んですよ。良くも悪くも。あなたもきっと思ったでしょう「すごいなおい」って。「こんなことおこるか」って。僕もそう。生きてれば思いもよらない出来事は避けられないんです。  人生が僕たちの想像通りになるほど、人間の想像力は豊かではありません。想像以上に複雑で、繊細で、すごいんです。  では、僭越ながら、僕が思う「挫折からの立ち直り方」を。  まず「ザセツ」という呪文を使うのをいったんやめましょう。「ザセツ」って語感が強すぎるんですよ。なんだか「ザ・切腹」略して「ざせつ」みたいで耳に刺さる。この言葉にがんじがらめになってしまわないようにしてください。  もちろん「挫折の主役」をやりたいのなら、やりたいだけやってればいい。でも僕は時間がもったいないと感じてしまう方なので、次の行動に出ちゃいます。  というわけで、僕の挫折からの立ち直り方は、「挫折」を「次のことへのきっかけ」くらいに解釈しちゃう、という都合のいいものでした。  …なんて言われても、今まさに暗闇の中にいる人にとっては、こんなのんきなコントおじさんの考え方なんて、ピンとこないかもしれませんね。  まあ、とりあえずご飯食べて寝てください。  あなたはとっても疲れています。悩みごとに立ち向かうには、意外と体力が必要ですよ。体が疲れると判断力は確実に落ちます。つらいときこそ、僕は「規則正しい生活」ってやつの底力を感じます。  あともうひとつ。笑ってください。  昨年あなたが泣いていたのなら、2015年は笑ってほしいです。そのために、僕の作品が役に立てたなら、これほどの喜びはありません。 小林賢太郎

謹賀新年

 明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。 小林賢太郎
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