小林賢太郎より

「怪獣たちの宴」の上演後記

 全国10都市をめぐった、コント集団カジャラ「怪獣たちの宴」。ツアー全39公演が無事に終わりました。稽古場には雪が降っていたのに、気づけばもうすぐ5月か。
 この数ヶ月のあいだ、僕たちの職業は純然たるコントでした。職業欄に「コント」と書いていいこの立場を、僕たちは目一杯楽しみました。

 では、カジャラ「怪獣たちの宴」の、ちょっとだけメイキングのお話を。

 思い起こせば昨年末、辻本耕志と加藤啓と僕で、獣の肉を食べながら、子供のころ近所にいた変なおじさんの話で窒息するくらい笑い、それが作品の方向性を決めるひとつのきっかけになりました。
 そしてなだぎ武さんの出演という贅沢。これには他のメンバーも気合入ってました。
 膨大な脚本を執筆し、稽古場に持って行く。読む。破壊と再生を惜しみなく繰り返し、何度でも完成させる。コントによっては第8稿までに及んだものもありました。そりゃ竹井さんも浮くってもんだ。

 コント作りが進む中、あんまり椅子などのセットが増えたので、幕間の転換に時間がかかるけどどうしよう、という状態になりました。そして出たのが「幕間のコント化」というアイデア。新生物「ニンゲン」の発見は、稽古場に入ってから生まれたものです。カジャラのMr.マンパワー、小林健一の頼もしいこと頼もしいこと。彼の劇団「動物電気」ももうすぐですので、是非。(https://www.doubutsu-denki.com/next/

 さらにさらに、劇中に名曲「STAND BY ME」を使うことになりました。僕の少年時代からの思いを、今に繋いでくれたこの歌を、今回唄ってくれたのは、なんと西寺郷太(NONA REEVES)。サントラ担当してくれた徳澤青弦の提案で、こんな贅沢な演出が実現しました。ありがとう、最高だったよ! ゴータ!

 カジャラというものを数年前に企画し、その企画書の1ページ目に「日本最高級コントブランドをつくる」と書きました。今思えば、ただ面白ければそんなことどうだっていいじゃないか、って思いますけど、その時はなんだか自分の中で盛り上がってたんでしょうね。でも、この「怪獣たちの宴」で、ちょっとは当時の目標に近づけたんじゃないかと感じています。これも、献身的にコントに向き合ってくれたメンバーみんなのおかげです。
 達者な辻本耕志。
 守護神、竹井亮介。
 荒ぶる小林健一。
 自由の国のなだぎ武。
 ゾンビ、加藤啓。
 みんなのことをよく怪獣に例えてきたけど、その正体はヒーローでした。僕を助けてくれるアベンジャーズ。(誰が誰かはさておき)
 一流の彼らと同じ舞台に立たせてもらって思うことは、僕は芸人でも俳優でもないんだな、ということ。みんなすごいんですよ。表現力、対応力。だから僕は、彼らのために頑張りたいって思える。どうすれば出演者一人ひとりが面白く見えるかを、考え続けられる。裏方冥利につきます。
 そして、会場には今回もたくさんの役者たちが観にきてくれて、楽屋で「俺を出せ!」というプレッシャーをかけてくる。こんなにこんなにこんなに嬉しいことはありません。

 コント集団カジャラ第四回公演「怪獣たちの宴」、全国の劇場へのご来場、まことにありがとうございました。頑張ってつくってよかったです。だって、あんなにみんなが笑ってくれたんだもの。

小林賢太郎

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