コント集団カジャラ『怪獣たちの宴』メンバー紹介

コント集団カジャラ『怪獣たちの宴』脚本・演出のわたくし小林賢太郎が、出演メンバーをご紹介いたします。

 まずは、なだぎ武。あれは20代の頃。コントオタクだった僕は、東京では放送されていない関西ローカルのネタ番組を見たくて、大阪の友達に録画を頼み、取り寄せていました。たくさんの芸人さんの中に、ボケではない普通のセリフを、絶対の勘で笑いにしている男がいました。キレ、顔、しつこさ。僕はテレビの前で「そこに、その姿勢、いる?」などと大笑いしていました。やがて僕にとって、コントが観るものからつくるものに変わっていき、このなだぎ武という男が、僕が持ってない武器を持つ、とんでもないモンスターなんだと思うようになりました。この人がカジャラに参加してくれるということは、腕相撲大会にブルドーザーがエントリーしちゃったようなものです。足の先から頭まで、全身にコント用の武器が詰まったメカゴジラ。なだぎさん、あんた最高だぜ! だから、お腹壊して稽古を休んだことは許す。

なだぎ武
 

 ある日の稽古場、僕の目の前で竹井亮介が浮いていました。正座の格好で腕組みをし、そのままこぶしひとつぶんくらい床からふわりと浮いているのです。え? なに? 神? いえいえ、真相は、僕の角度からちょうど浮いて見える座り方をしていたのでした。詳細を説明するには僕の文章力が及ばないので、いずれ何らかの形で。それはさておき、このふっくらしたおっさんが、最近にわかにお忙しい。どうも彼の魅力が業界内にバレてしまった感じがします。あのモスラの幼虫のような安定感、そりゃみんな仕事頼みたくもなるわ。そしてそんな今でも、小林賢太郎の現場を大切にしてくれていることが本当にありがたい。彼がいるから、僕はまだこうしてここにいられる。うん、やはり僕にとっては神なのか。竹井さん、あなたと仕事ができることを僕は誇りに思います。そういえばメンバー紹介用の写真が、竹井さんだけ演歌のスターみたいだなと思いました。

竹井亮介
 

 小林健一は、前作(カジャラ第3回公演『働けど働けど』)で伝説をつくりました。あるまとまった一人演技のシーンで、全42公演、ぜんぶ違うアドリブを入れてきたのです。しかも毎回けっこうな完成度で。そしてなんとこれ、誰にも頼まれていないのです。脚本家の僕も「ここ、毎回違うアドリブで」だなんて一切書いておりません。そのメガトン級のサービス精神に、みんな度肝を抜かれたのでした。そんな小林健一、ある日、稽古場に青タンつくってきました。聞けば、自身の劇団「動物電気」のほうの稽古で張り切りすぎた、とのこと。うーん。なんという、わんぱく。彼は少年なのです。誰かのすごいところを見れば「すげえ」とポツリ。人の長所に、あんなにも素直に感心する大人の男を他に知りません。無垢。無添加。無着色。お客様には丸のまま味わっていただきたい。そんな彼は、演出家の僕にとって、頼れる話し相手でもあります。実に頭のいいアイデアマンなのです。ちょいちょい助けてもらってます。さあケンイチザウルスよ、千秋楽まで怪我のないようにお暴れください。

小林健一
 

 さあみなさん、僕の大好きな謎の男、加藤啓を連れてまいりました。実に18年ぶりの共演です。いやー、全然変わってない。彼はねえ、まあ説明の難しい俳優でして。常人と狂人の両面を、あっさり演れちゃう極端な守備範囲。怪優? うーん、それもまた表現が違うような。擬音で表せば「ひょうひょう」。完全に風が抜けていくが、確かにそこに存在する。そんな、網戸のような男。だめだ、ぜんぜんうまく例えられない。僕が車で稽古場に出勤してきたときのこと、ちょうど加藤啓が歩いていました。僕に気づいた彼は立ち止まり、笑顔で僕を見つめました。彼を追い越す僕の車。なぜか僕から目を離さない笑顔の加藤啓。仮にこれが知らない人だったら怖えなあ、なんて思いました。なんだこのエピソード。ゾンビって、なに考えてるかわかんないじゃないですか。だからこそ目が離せないというか。まあ、見ててください。あの常温の笑顔に、油断してはいけませんよ。

加藤啓
 

 続いてご存知、和歌山が生んだご当地ポケットモンスター、我らが辻本耕志。ある日の稽古場、おにぎりをほおばる辻本耕志。とくにサイドメニューは見当たらなかったので、僕が食べていた焼き鳥弁当の中から、つくねをひとつ爪楊枝に刺してあたえてみました。つくね一個を指先につまみ、座っている辻本耕志。実に収まりが良い。そんなコンパクトな彼ですが、今回の舞台でもおそらくアクティングエリアは最大面積。ステージの彼はいつも活き活きとしています。リハーサルより本番の方が面白いってことは、この仕事に向いてるってことなんだろうな。ところで最近、なんだか彼が僕の様子を観察している気がします。今、小林賢太郎は何を求めているのか。それに対して、自分はどう役立てるのか。そんな積極的な姿勢を感じます。だから一緒にいると、新しい何かが生まれてくる予感に満たされて、僕は「生きてるな」と感じられるのです。盟友オレンヂに20年分の感謝を。

辻本耕志

 で、わたくし、脚本・演出の小林賢太郎です。昔からウルトラマンに似てるとは言われてましたけど、好きなのは怪獣の方でした。1957年公開の「地球へ2千万マイル」という映画に「イーマ」っていうモンスターが登場します。そいつが賢太郎少年のお気に入りの怪獣でした。デカすぎない。着ぐるみじゃない。手づくり感がありながらも、なぞの高級感。グッときました。「Ymir」って書きます。小学生の僕は「イミール」って読んでたんですけど、大人んなってから調べたら「イーマ」って表記されていました。でもまあ、僕にとっては「イミール」でいいんです。大事なことは、僕が何を感じて、その後の人生にどう活かしたか、ですから。僕のような半地下芸人が、ここまでずっとコントで飯を食わせてもらってきたなんて、本当にありがたいことです。将来、僕のことをよく知らなくても、僕のコントを好きになってくれる人がいたら嬉しいな。少年時代の僕にとってのイミールみたいに。

小林賢太郎
 

 そして、今回もクロコがステージを手伝ってくれます。今回のクロコは山下征志。オーディションと、小林賢太郎によるコントのワークショップへの参加を経て選ばれました。稽古からみんなに可愛がられています。千秋楽まで兄さんがたに遊んでもらう覚悟はいいか! 山下!

 こんなメンバーでお送りする、コント集団カジャラ『怪獣たちの宴』。全国10都市、39公演。みなさまお誘い合わせの上、どうぞ踏み潰されにお越しください。ガオー。

 コント集団カジャラ代表 小林賢太郎

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